設計のポイント

透明な樹脂材料を選ぶ時の3つのポイント

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はじめて樹脂設計に取り組む開発者にとって、大きなハードルとなるのが樹脂材料の選定です。今回は【透明な熱可塑性プラスチック】を選ぶ時に必要な3つのポイントを素材ごとに解説していきます。

透明樹脂の選定に必要な3つのポイント

1.成形性

2.耐衝撃性(+他の機能性)

3.類似製品での採用実績(食品などでは特に)

では素材ごとにポイントを確認していきましょう!

①PS(ポリスチレン)

射出成形以外でも発泡スチロールや食品トレイなど汎用に広く使われている原料の1つです。

射出グレードのPSには下記、2種類があります。

GPPS (General Purpose Polystyrene) :汎用ポリスチレン 無色透明

HIPS (High Impact Polystyrene):耐衝撃ポリスチレン ナチュラルは白色 GPPSにゴム分を加えて、衝撃性を強化したポリスチレン

GPPSは非常に安価で、世間で広く使われています。 樹脂の流れがよく成形はとてもしやすいですが、強度が弱く、力を加えると割れてしまう事もあります。

代表例としましてはCDケースなどが挙げられます

GPPSで出来たCDケース

そのほか、100円均一の樹脂製の透明な食器などはGPPSの場合が多いです。

GPPSの特徴

強み:安価、成形性◎、比重が小さい、 寸法安定性◎

弱み:割れやすい、耐候性×、耐熱性×

強度不足ゆえに、GPPSはHIPSと混ぜて使われたり、そのまま使われたりします。

弊社は懐中電灯メーカーなので、GPPSは常時扱っております。

レンズの部分はGPPS

②PC(ポリカーボネート)

次に汎用エンプラとして取り扱われているものがポリカーボネートです。

機動隊が持っている盾はポリカーボネート製

実際に使われている用途としましては、車のライトカバー、ヘルメット、電動ドライバーのボディ、スーツケース、等々かなりハードに扱われるところを中心に使用されています。

成形は樹脂の流れが悪く、金型設計からPC用にアレンジしないとスムーズに立ち上がらないケースが多いです。例えばPSで製品を製造していて、強度不足でPCに変える場合などは金型改造が必要になる場合が多いです。

製品設計上も、樹脂周りが悪い場所が出やすいですので是非、弊社の設計診断をお受けする事をお勧めします。

中国では材料の調達価格が高く、日本での製造

PCの特徴

強み:衝撃への耐久性◎、耐候性◎、寸法安定性◎

弱み:耐薬品性×

弊社はPCを使った生活雑貨や、更にガラスを入れて強化した工業部品など設計から担当させて頂いた実績が多数ありますので、サンプルや図面診断が必要な方は是非お問い合わせください。

PC製の弊社ドアストッパー

③コポリエステル(PETG)

PCは製造工程で環境ホルモンを排出するビスフェノールAを扱うという事で、欧米では食品や幼児用製品への使用が禁止されています。これを受けて素材メーカーが開発したのがペット系の材料の1つ「コポリエステル(PETG)」

代表的なグレードとしましてはEASTMAN社が 透明モノの食品容器用に開発したTritan™「トライタン」というグレード。耐薬品性に優れ食品からの色移りの心配もありません。

弊社では通販生活様でお取り扱い頂いている「フィトケミカルブレンダー」でこの素材を使っています。

透明部分はすべてコポリエステル

成形は結構難しいというのが率直な意見です。エアーの巻きこみや焼け不良が発生しやすいこともあり、一定の不良率は見ておいた方が無難です。

PETGの特徴

強み:耐薬品性、耐衝撃性

弱み:耐熱性

④アクリル(PMMA)

樹脂の中でトップクラスの透明度を誇るのがこのPMMA。成形性は良いですが、衝撃性が悪かったりキズが入りやすいこともあり、近年ではあまり材料選定で扱われないことが多いです。弊社でお受けしている計測機器などのレンズはアクリルで成形してます

PMMAの特徴

強み:クリアな透明性、耐候性、 板材や押し出し材などでアクリルの素材が多く出回っているので、成形後の加工で使いやすい

弱み:衝撃に弱い、耐油性、耐薬品性(アルコールなどで拭くとすぐに腐食されます)

そのほか、SBCやPPの透明、ABSの透明など、ご紹介しきれなかった素材もございます。詳しくお聞きになりたい方は弊社までお問い合わせください

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はじめて樹脂設計に取り組む開発者にとって、大きなハードルとなるのが樹脂材料の選定です。全部ご紹介すると膨大な記事量になってしまうので、今回は【透明な熱可塑性プラスチック】に限ってご説明いたします。