問題解決ブログ

簡単そうな形状ほど難しい!プラスチック射出成形の秘密。

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お客様からいろんな製品のお見積りを頂きます。誰が見ても難しいと思う製品も有れば、これは簡単!というような形状も有ります。
でも実は簡単そうで難しいパターンも良くあります。今回は奥深いプラスチックについて説明します。

プラスチックは収縮する!

プラスチックは収縮します。どういうことかと言いますと、
プラスチック材料は射出成型機のスクリュー内で溶かされ液状にされた後、金型内で冷却され固体に戻ります。
その際、液状→固体状に変わる時に0.1%~4%の収縮が生じます。
つまり、金型いっぱいに溶けた樹脂を入れても、固まると99.9~96%の量まで減ってしまうという現象が発生します。またその収縮は均一な場所で発生しません。特定部分に集中します。
特に良く使うPPは収縮率が1%~2.5%と大きく、差異を計算に入れた金型設計が必要になります。

箱型は辛い!厚い部分が薄い部分を引っ張り、ソリが発生する。

小学生の工作で作りそうな簡単な形状の小物入れの箱です。こんな箱でも、PP樹脂で作るとどのような問題が発生するのか説明します。

結果から言うと、画像の黒線部分が凹みます。(通称うち倒れ、ソリ)
プラスチック樹脂は一番厚い部分に樹脂が引っ張られて硬化するという特徴があります。
角部分は厚みがあるため、中心の樹脂が硬化する際に外側の角側に引っ張られます。
結果、辺の中心は薄くなり凹み、たわんだ形状になってしまいます。

上から見るとこのような形状になってしまいます。(少し大げさに記載しています)
このうち倒れ(ソリ)という現象を無くすためには、わざと中心部の厚みを上げ、収縮時に引っ張られて厚みがちょうど適正値になるように金型を改造します。

この金型改造が非常に難しく、外側に近い部分はわずかに、中心は大きめに厚みを上げる必要があり、厚みを付け方を間違えると逆に凸になってしまったり、波打ってしまったりして、通常1~4回の金型修繕を行って、やっとほぼほぼ正確な製品が完成します。(それでも完全には直らないことも多い)

これを防ぐためには構造変更(リブを付ける等)、材料変更、条件変更(冷却時間増加等)が有効です。

今回は一見簡単に見える製品ほど難しいというお話でした。是非皆さんも100円ショップでこのような形状を見付けたらよく見て下さい。最近は品質も非常に高いですが、それでも製品が上から見ると凹んでいたり、修繕ミスで波打った形状になっているものがあったりします。ただ機能面では問題ないので、お店にはクレームをつけないでくださいね~~。

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